らっこの国のお姫さま
「飼育係~ぃ!!」

「何ですか、姫。
そうぞうしい。」

「見てきぅ~!」

海岸で姫がパイナップルを手に高く持ち上げ、飼育係を呼んでいます。

飼育係は海まで降りて行きました。

「見て!見て!
海から拾ってきたのきぅ!」

「包丁持ってきましょうか?」

「これ位包丁なんていらないきぅ。」

確かに姫達らっこは蟹や海老も殻ごと、ウニさえも殻ごと食べます。

姫はそのままガブガブと手に持って食べました。

「飼育係も食べてみなさい!ほら!ほら!甘いきぅよ!」

「わ……私は皮が苦手だからいいです。」

姫は眉をよせ、

「遠慮することないのに。」

そう言うと青い空の下、波に揺られパイナップルを食べてから眠くなり、お陽様が傾くまでお昼寝しました。

「今日は本当にいい天気だったな。」

飼育係は姫が流されないように心配して、小舟のロープに姫を結わえていたのです。

こうして城にも秋がやってきました。
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