ジェネシス(創世記)
紀元前一万年前、氷河期が終わる頃、南極大陸に巨大な隕石が激突したらしい。極地や山脈などの氷河が次第に解氷し、沿岸部は六0メートル以上も海の底に沈んだ。

数千年も経て形成された鍾乳洞も、海の底に沈んでしまった。ノエルの故郷であるアトラス大陸もまた、沈んだらしい。私は、そんな大陸の存在も洪水伝説なども信じてはいない。

 さらに追い打ちをかけるように、「メタンハイドレード」によって温暖化が促進された。水分子(H2O)にメタン(CH4。炭化水素)が結合し、シャーベット状の白い固まりが、冷たい海底に存在した。

「燃える氷」、天然ガスだ。沸点は四九度と低く、燃えやすい。 このガスが海面上を漂い、高気圧の大気で熱せられると地球に温室効果が発生する。これにより氷河が溶けだし、海水がさらに上昇したことであろう。

 このメタンハイドレードが、大西洋のバミューダ海域の海底にあると言い伝えられている。これが、大気中で白いガスとなって浮遊する。

もし、空飛ぶ飛行機がこの世の中に存在するとしたら、その白いガスに包(つつ)まれて爆発し、海面上に落下することであろう。

もしかすると、アトラス大陸の沈没はこのメタンガスが原因かもしれない。



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