蝶々結び
「それでは、二年一組の担任になって貰う上杉先生です」


教頭先生の声で、あたしはピクッと反応した。


新任教師だったから、知らなかったんだ。


「皆さん、初めまして。二年一組の担任、上杉良平(リョウヘイ)です。今日からこの学校でお世話になります」


あちこちから、女子達の黄色い声が聞こえて来る。


さすがに叫ぶ子はいなかったけど、明らかにソワソワしている子はたくさんいた。


そして、あたしはそんな周囲を余所に一人で驚いていた。


昨日の男の子っ!!


生徒じゃなかったの!?


てか、あの顔で教師!?


どこからどう見たって、高校生くらいでしょ!?


舞台に立っているのは、間違いなく昨日の童顔の男の子。


あたしは目を見開いたまま、心の中で『有り得ない』と繰り返していた。


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