蝶々結び
教室に戻っても、生徒達はざわついたままだった。


「マジでカッコ良くない!?」


「このクラスでラッキー♪」


そんな言葉が、あちこちから聞こえて来る。


確かに、見た目はカッコイイ。


かなりの童顔だけど、それがまた先生のカッコ良さを引き立たせていた。


年齢は間違いなく、あたし達と近いハズ。


そんなドラマや漫画みたいな話なんだから、女子達が盛り上がる気持ちもよくわかる。


あたしは、先生に対して浮ついた感情は無い。


だけど…


少しだけ共感出来るような気持ちはあったから、騒ぐ女子達を横目で見ていた。


「ねぇ!須藤さんは、上杉先生の事どう思う!?」


急に話し掛けられて、弾かれたように顔を上げると…


「えっ?」


名前も知らない女の子が、目の前で笑みを浮かべていた。


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