蝶々結び
「七星、ヘアーアイロン持ってるんか?」


何でそんな事訊くんだろ……?


不意に創太に変な事を訊かれ、不思議に思いながら口を開いた。


「持ってるけど……。どうして?」


「俺に貸しといて♪」


創太はそう言うと、手を差し出した。


「こんな物、何に使うの?」


あたしは小首を傾げながら、彼に言われた通りアイロンを手渡した。


「須藤、時間は大丈夫か?」


上杉先生に尋ねられて時計を見ると、11時を過ぎていた。


「もう行かなきゃ!」


あたしは、二人と一緒に祖父母の家を出た。


「後で見に行くから、練習頑張れよ!」


「はい!」


昨日までは上杉先生に見られる事が嫌だったのに、今は何の抵抗も無く素直に頷けた。


すごく不思議だけど、あたしの舞を見て欲しいとすら思っていた。


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