蝶々結び
「来年は受験だから今年で終わりにしようって、ずっと決めてて……。でも……」


そこまで言って、言葉に詰まった。


「でも?」


上杉先生はそう訊き返して、優しく微笑んだ。


「ちょっとだけ……後悔もしてて……。今年は自分でもビックリするくらい、満足出来たから……」


「うん、それで?」


「何年か前から嫌々踊ってた舞が、少しだけ好きだと思えたんです……」


何だか、泣き出してしまいそうになった。


どうしてなのかはわからないけど、少しだけ寂しくもあったから…。


「ずっとして来た事を卒業するのは、寂しい事だもんな……」


「はい……」


「ただ……お前がやりたいなら、皆は喜ぶんじゃねぇの?」


それはわかってる……


だけど、言葉に詰まったあたしは、黙ったまま上杉先生を見つめた。


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