蝶々結び
散々笑った上杉先生は、あたしを見ながら口を開いた。


「創太と仲イイよな♪」


「別に普通です……」


不機嫌な声で答えて、気まずさを隠すように上杉先生から視線を逸らした。


「俺は仲良しだと思うけどな!付き合ってるとか?」


は……?


付き合ってる……?


どこからどう見たら、そうなるの……?


「有り得ないです……」


あたしはさっきよりもトーンを下げた声で、冷たく言い放った。


「男と女なんて、いつ何が起こるかわかんねぇよ?それが恋愛だからな」


上杉先生は、あたしの顔を覗き込んで意味深に笑った。


『男と女なんて、いつ何が起こるかわからない』


あたしの頭の中では、その言葉が繰り返されている。


男と女……


じゃあ……


上杉先生と自分(アタシ)も……?


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