蝶々結び
さっき……


どうして、『上杉先生と自分(アタシ)も……?』なんて思ったんだろう……


男の人って言われた時に、真っ先に上杉先生の顔が浮かんだ。


男友達が少ないから、あたしにとって上杉先生が近過ぎる存在なのかな……?


担任の先生で、家が近くて、遠方に住んでいる祖父母の家まで隣同士。


こんなにミラクルが続けば、誰だって“運命”だって錯覚するんじゃないかな……?


錯覚……


そうなのかもしれない。


もしそうだとしたら、あたしが戸惑ったり悩んだりしていた事にも納得が出来る。


「何かスッキリしたかも……」


「何がスッキリしたん?」


息を吐いて立ち上がった直後に声を掛けられて振り向くと、創太が首を傾げて立っていた。


「皆は?」


「まだ居間におるよ」


創太は答えながら、縁側に腰掛けた。


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