准教授 高野先生の結婚

お互いに背中をまるめて向き合って、おでこをこつんとくっつける。

「毎日ね、フランソワと寝てた」

「僕は淋しく独りで寝てたよ」

彼の手が私の肩にそっと触れる。

そして――

髪にキス、瞼にキス、ほっぺにキス。

だけど、唇は――

触れ合いそうで触れ合わない。

重なりそうで重ならない。

「むずかしいね」

「とってもね」

鼻と鼻がぶつかって、思わずくすくす笑い合う。

この感じって――

くすぐったくて、じれったくて、なんだかちょっぴり……甘酸っぱくて、もどかしい。

そんな二人を、柔らかくとろんと甘い香りが包む。

「もも」

「ん?あぁ、そっか。今日は桃の入浴剤だったからね。じゃあ、もも臭?」

「もう、またそうやってわざと……もも臭じゃなくて、桃の匂い、香りですってば」

私は呆れたように笑いつつ、ゴチンと頭突きをお見舞いした。

< 17 / 339 >

この作品をシェア

pagetop