准教授 高野先生の結婚
お互いに背中をまるめて向き合って、おでこをこつんとくっつける。
「毎日ね、フランソワと寝てた」
「僕は淋しく独りで寝てたよ」
彼の手が私の肩にそっと触れる。
そして――
髪にキス、瞼にキス、ほっぺにキス。
だけど、唇は――
触れ合いそうで触れ合わない。
重なりそうで重ならない。
「むずかしいね」
「とってもね」
鼻と鼻がぶつかって、思わずくすくす笑い合う。
この感じって――
くすぐったくて、じれったくて、なんだかちょっぴり……甘酸っぱくて、もどかしい。
そんな二人を、柔らかくとろんと甘い香りが包む。
「もも」
「ん?あぁ、そっか。今日は桃の入浴剤だったからね。じゃあ、もも臭?」
「もう、またそうやってわざと……もも臭じゃなくて、桃の匂い、香りですってば」
私は呆れたように笑いつつ、ゴチンと頭突きをお見舞いした。