Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
「えっ、琴音が休み?」
朝の出席確認の時、亜季が驚いていた。
昨日の私が元気だったことを知っているからだ。
「間先生。琴音どうしたんですか?」
このクラスで亜季だけがカンペーのことを間先生と呼んでいる。
「いや、お母さんが電話をくれたらか詳しくは分からないんだが……風邪って言って欲しい。だってさ。」
「なんですかそれ?」
カンペーは頭をかき、眉を寄せた。
「何かあったのかね。オレの方が知りたいくらいだよ。あの子病欠なんて一度もないしな。」
出席簿を見ながらカンペーがつぶやいた。
亜季は振り向きざま言う。
「鷲尾、ちょっと良いかな?」
「……あ?」
いつも通り机で居眠りしていた拓哉が起き上がる。
そして亜季の真剣な表情を見て席を立った。