Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
2人はクラスの2つ先の開き教室の廊下で話しを始めた。
「何、なんか用?」
拓哉はダルそうに壁にもたれかかる。
亜季はその真正面に仁王立ちしている。
ちょっとの間、亜季は言葉を選ぼうとしていたけど、真っすぐに聞く。
「昨日琴音と帰ったよね。何かあったの?」
柔らかい語調の中に拓哉は強い猜疑心みたいなものを感じ取っていた。
「……オレが何かしたって言いたいのか?」
「…………ええ、そうよ。」
2人が睨み合う。
拓哉は優斗を殴った時のような怖い目をしている。
亜季も決して瞳をそらさない。
「アンタいったい琴音をどう思ってるの?」
ずっと睨み合っていた2人だったが、亜季のその質問に拓哉の方が先に目を逸らした。
そして床を見ながら拓哉は小さく息を吐いた。
「分かんねぇよ。あいつらが何したいのかもオレには全然な。」
そう言って拓哉はクラスへと戻っていった。
亜季はそのまま次の授業のチャイムが鳴るまで、廊下で立ち尽くしていた。
「……なにがあったのよ琴音。」