Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
遊園地のゲートを抜ければそこは別世界。
色とりどりの花が私に笑い掛け、赤レンガや、石造りのメルヘンな建物が私を手招きするのよ。
そう、遊園地に入った乙女は正にお姫様。
その隣にはきっと白馬に乗った王子様が――
「はぁ、ダルい。」
いない。。。
私の隣にいるのは年中ダルダル男爵だけ。
あぁ、白馬の王子様は何処に?
「……何よ?」
乙女モード全開の私を、拓哉がダルそうに見ていた。
「別に。また馬鹿みたいなこと考えてるんだろうな。って思っただけ。」
「そうよ。白馬の王子様はどこにいるのかしら?とか考えちゃいけないわけ?ロマンの欠片も無いのね年中ダルダル男爵は。」
「誰が年中ダルダル男爵だ。アホか……」
そう言って拓哉が歩き始める。
私もその後に続く。
でもデートなのにこうして普段通りの会話しかできないことがちょっぴり悲しい。