Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
それから2人でジェットコースターに乗った。

手放しで乗る私の横で、拓哉はガッチリと手摺りを握り締めながら放心状態になっていた。

ベンチに座らせて2人分のジュースを買った。

「サンキュー」と言ってくれたのが嬉しかった。

四年ぶりに乗ったメリーゴーランドは、何故だか退屈なものになっていて、私も大人になろうとしているのだ。

そんなことを思ったりした。

「もうそろそろ日が暮れるな。なぁアレ乗らない?」

夕焼けに染まった遊園地はどこか現実味をおびていて、少しだけ悲しくなる。

それは終わりの刻が近づくと知り、また元の世界に戻らなければならないことを何処か意識してしまうからなのだろう。

「あんま好きじゃない?」

夕焼けを眺めてボーッとしていたら、拓哉が不安そうな顔で私を見ていた。

「ううん。私も好きだよ……観覧車。」

「そっか。」

そして私達は傾く日を眺めながら、ただ空を横切っていった。

何も喋らずただ、夕焼けと、それに染まる拓哉を見つめながら……



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