飛べないカラスたち


それから一言二言の会話を交わした後、電話は終わった。


レイヴンは暫く光を失ったディスプレイを無言で見つめるしかなかった。


先ほどから一部始終を見ていたクロウとルックは少しおかしな空気を抱くレイヴンを静かに見つめていた。


最初に口を開いたのは、クロウ。



「どうかしたのかよ、レイヴン」



「あぁ……ジャックドーが、新しい情報を掴んでくれたようです。これから調べるから少し待ってて欲しいらしいのですが」



「新しい情報って、何?」



ルックの問いかけにレイヴンは静かに首を横に振る。



「今回の仕事が終わったあと、久しぶりに4人揃おう、と言う話になりました。詳しくはジャックドーがそこで話をしてくれるそうです」



いまいち腑に落ちないが、それ以上追求する言葉も見つからずクロウたちは黙ってレイヴンを眺める。


少し濁ったこの空気を一掃するように、ポンと手を叩いて、レイヴンは明るい声を出した。



「さて、今回はジャックドーもこっちに回ってくれますので、頼もしいですよ。私とルックは一緒に行動、クロウは一人でも大丈夫ですね?三つにわかれて、1人12人を削除します。誰を削除するか・誰から削除するか・最終日で落ち合う場所、は後日お伝えしますので」



「ちょっと待ってよ、僕だって一人で平気だ!ジャックドーも来るなら尚更、4人でしたほうが早く片付くだろ」



「何言ってんだ、餓鬼が一丁前に」



わしゃわしゃとルックの頭を撫でるクロウに、ルックは『子ども扱いするな』と不満そうにその手を払う。


高が2歳差で子ども扱いされたのが余計にルックの不愉快さを募らせる。


レイヴンはそんな二人を眺めながらも静かに諭す。





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