焦れ恋オフィス

「は…?瑶子?なんで彼女の名前が出るんだよ」

「だって……かなりたくさんの女の子と遊んでると思うんだけど。
彼女に未練があるから手が出せないんでしょ?」

「はぁ……」

夏基は天井を見上げて溜息をつくと、気持ちを切り替えたように意地悪な笑顔を私に向けた。

「本気で好きじゃない女を抱くわけないだろ」

「……」

まっすぐ私を見て、はっきり言い切る夏基だけど。

「嘘だ。私の事は浮気相手って割りきって抱いてるでしょ。
好きじゃなくてもその気になれば抱けるって私が一番知ってる」

そこまで自分で言っておいて自分で悲しくなってくる。

自分の立場はちゃんとわかっているし、受け入れているはずなのに。

言葉にすると重くて切なくて、私の気持ちをざっくりと傷つける。

私は単なる浮気相手。

それは私への刃だ。
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