焦れ恋オフィス
「気にしないで。そう思われてるのはわかってる。
でも、夏基と一緒に過ごせて楽しかったし幸せだったよ」
にっこり笑って、じっと夏基の瞳を見つめながら……私から夏基の唇にキスをする。
お互いの熱が、そっと触れ合う一瞬に、
『私は、夏基一人を本気で愛しているのよ』
決して口にはできない切ない想いをこめて。
重なる熱に揺れる気持ちを隠したまま。
少し優しさを含んだ夏基の表情に、出会って何度も感じたときめきを再び心に閉じ込めた。
こんなに夏基を愛しているのに、それはもう終わらせなければならない感情にしかならない。
側にいられればいいと思っていたけれど、それすら手放さなければならないと決意して、涙して。
そろそろタイムリミットなんだ。
「じゃ、帰るね。飲み会、楽しんできてね」
感情が読めない表情のままの夏基は無言で私を見つめるだけだ。
そんな、少しぎこちない空気を夏基に残したまま、私は夏基の部屋を後にした。