焦れ恋オフィス
専務に向かって乗り出していた体を力なく戻して、ソファにもたれる。

脱力感を感じるなんて滅多にないけれど、混乱した気持ちとどう折り合いをつけていったらいいのかわからない。

「芽依は…まだ入院しているんだ…。もとから貧血気味っていうのもあるし…赤ん坊を失うのを怖がってるんだ」

「…」

「誰に遠慮する事なく愛せる初めての家族…らしい」

苦しそうに呟くと、

「はは…。大切にしていたつもりでいたのに、芽依の本当の気持ちには誰も気付かなかったんだ…」

俺を見ながら言ってはいるけれど、芽依への後悔を吐き出さずにいられない、そんな辛そうな瞳。
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