焦れ恋オフィス
「僕は…芽依と専務の噂を信じてたままで芽依の側にいたんです。

いつか芽依が離れていく事が怖くて…気持ち全てを預けられなかった」

膝に置いた手が震える。
脱力していた心は、芽依に対してとっていた自分の曖昧な態度を思い出すにつれて、恐怖に変わっていく…。

芽依を失うかもしれないという恐怖。

「専務…。芽依は、僕の事は何か言ってないんですか」

「…。赤ん坊の父親は誰だって聞いても、絶対に言わないんだ。とにかく産むとしか言わない…」

俺の目をじっと見ながらも、迷いと気遣いが感じられる。
芽依は、俺に何も言わないままで赤ちゃんを産もうとしているのか?
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