焦れ恋オフィス
真里さんの言葉を遮って、いつもの兄の言葉を真似た。
真里っさんは、一瞬目を見開いてびっくりしていたけど、次の瞬間にはその場にふさわしくない笑い声をあげていた。
「そうそう。その言葉を力強く言ってたよ。
芽依ちゃんと赤ちゃんが幸せな人生を過ごせるように全力で守るって。
本当、大事なのね、芽依ちゃんの事」
「うん……。感謝してる」
照れてる私の肩を軽く抱き寄せて、真里さんは言い聞かせるようにゆっくりと呟いた。
「私も、全力で二人を守るからね」
そして、優しく私のお腹を撫でてくれた。
その温かい手が、この赤ちゃんが産まれてくる事を祝福してくれているようで、嬉しくてたまらなくて。
ぐっと熱くなった目の奥を我慢できず、ぽろぽろと涙がこぼれた。