焦れ恋オフィス
佐伯の家に両家が集まった水曜の晩。

夏基の両親と二人のお兄さんも来てくれた。
弁護士一家だと聞いていたから、どちらかというと堅いイメージを持っていた私は緊張感いっぱいで、時々優しく笑いかけてくれる夏基の側でドキドキしていた。

けれど。一目私を見るなり

「俺があと30歳若かったら俺の嫁に欲しかった」

と悔しそうに笑って言うお父さんの言葉に、ふっと緊張感も解けた。

夏基やお兄さんは

『あぁ、またか…』

と呆れていたけれど、そんなお父さんのおかげでその場の雰囲気は和んだ。

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