焦れ恋オフィス
「…芽依?」

「え…?」

気付けば、みんな私を見ていて…隣りの利也くんがハンカチを差し出してくれた。

何で?

「涙拭け…」

「…っ」

はっとして、手を顔にあてると確かに…泣いてる。
声もなく。
ただ流れる涙を止める事ができなくて、ハンカチを借りて目を塞いだ。

「えへへっ…。妊娠すると涙もろくなっちゃって」

震える声で明るく言っても説得力ないけど…とりあえずごまかしてみた…。

兄さんはじめ、みんなは怪訝そうに私を見るのをやめなくて…。

恥ずかしくて。

「ちょっと顔洗ってくる」

みんなの視線から少し離れたくて、席を立った。
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