焦れ恋オフィス



二階のベランダにそっと出ると、夏の匂いと肌にじんわりくる湿気を感じる。

それほど過ごしやすい風が吹いているわけでもなく、どちらかというと気分もじめっとしそうな夜。

それでも、私の気持ちは少しずつ晴れやかになってきた…。

単純だな。

ようやく涙も止まって落ち着いて。
そしてじわじわと…夏基の気持ちが私の中にしみこんでくる。

月の光にかざした指輪は、日の光に当たった時とは違う輝きを私に見せてくれる。

そう見えるのは、私の心の中が変化したからかもしれないけれど…。

「夏基…」

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