焦れ恋オフィス
「お茶入れるね」
何事もなかったかのように、普段と変わらない自分を保ちながら、キッチンでお茶を入れる。
そうして気持ちを落ち着けて、赤ちゃんの事をどう切りだそうかと考えていると、夏基が傍らにやってきた。
そっと隣に立った夏基を見上げると、心配そうに私をじっと見ている瞳とぶつかる。
「……花凛と買い物は?」
「え……?」
そういえば、病院に行くって本当の事は言えなくて、とっさに嘘をついたんだった。
「えっと、その。行ってないの」
「なんで?花凛の都合が悪くなったとか?」
「うん……。まあ、そんなとこ……」
どこか不自然な言葉を呟きながら夏基をちらりと見ると、やっぱり怪訝そうな顔をしていた。
何か気づいているようないないような、眉を寄せてしばらくいたけれど、夏基は敢えて深く聞いてくる事もなく、相変わらずただ私を心配そうに見つめているだけ。