焦れ恋オフィス
夏基とのキスに酔いながら、気づけば倒れそうになっていた。
慌てて夏基の肩を掴むと、夏基のキスは更に深く熱くなって。
そのうち、私も夏基と同じ深さで応えながらその熱を受け止めていると。
夏基はそっと私の体を離して、荒い息をしながら呟いた。
「芽依、高橋専務と何かあったのか?……とうとう別れた?」
「……」
「青白い顔をして、そんなに悩むほど、高橋専務が好きなのか…?」
唇が離れる合間につぶやかれる夏基の言葉。
低い声で問いかける夏基の切なく悲しげな表情以上に、私の体には鈍い痛みが走った。
『高橋専務の愛人』
密やかに、そしてそれは事実であるように社内で広まっている私への噂。
夏基が、何を根拠にそれを信じているのかわからないけれど、その噂を事実として受け止めたまま、私を抱いている。
私も、夏基がそれを信じていると気づいていながらも、本当の関係を言わずに側にいる。