焦れ恋オフィス
ようやく整った二人の呼吸。

夏基が見せる瞳の悲しみは、一層深いものとなり、私の腰を抱く手は少し震えている。

夏基にとって、今私に尋ねた言葉は決して簡単に出てきたものではないし、生易しいものではないとその震えが伝えてくれる。

「夏基……私と高橋専務のはそんな関係じゃないよ」

「……」

夏基の腕に守られて、そっとその胸に頬を寄せると、ドクドクと聞こえる鼓動。

視線を移して、ぼんやりベランダを見ると、私が春先に植えたアサガオのつるがのびている。

夕焼けが差し込むリビングは茜色に染まって、二人で選んだソファやテーブルがいつもよりも優しく見える。

ふと見上げた夏基の瞳の緊張感はまだ解けていなくて、ただ私を見つめているだけでどんな感情も読めない。

「あのソファ、こんな色だったんだ…」

「……は?」
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