焦れ恋オフィス
「な……なんで……。だめだよ、せっかく誘ってもらってるのに」
「……」
「会社でのつきあいは大切にしてるんでしょ?一度行くって言ったんだから行かなきゃ」
そう言って俯いた私には、夏基が今どんな表情をしているのか見えないけれど、黙り込んでいるその空気からは、私の言葉に納得しているんだろうと感じる。
潤滑に仕事をすすめるためにも、付き合いを大切にしているんだから、今日もその気持ちは守らなきゃ。
……嘘。
このまま私を抱きたいと言われて、めまいがするほどの嬉しさが体中に溢れてるのに。
他の女の子達と飲むよりも、私との時間を選んでもらえそうなのに、飲み会に言って欲しいなんて、そんな事は全く思ってない。
このまま二人で過ごしていたいし、抱き合っていたい。
けれど、これまで通りの強がる癖がここでも顔を出して素直になれないし、遠慮という感情が、私の本心にふたをしてしまう。
もし私に自信と強さがあれば、
『嬉しい』
と笑顔を見せて、夏基をどこにも行かせないのに。