焦れ恋オフィス
はっと息が止まって、どう言葉を返せばいいのかと、ほんの短い時間なのに頭の中は混乱して色々な事が逡巡して。
ただただ夏基を見返していた。
そして。
「……夏基には、ばれてたか。ふふん。夏基もちゃんと私の事見てたんだね」
少し明るすぎるかなと不安になるほどに気持ちを高く持った声で肩を竦めてみせた。
私をちゃんと見ているらしい夏基を知って、戸惑いが溢れるのと同時に嬉しくて、胸はじんわりあつくなるけれど、そんな思いは決して見せたくない。
とりあえず普通に話せているよね。
だから、近すぎる夏基の顔からできるだけ遠くに離れて軽くそう言った。
「……芽依の事はちゃんと見てるよ」
夏基はそんな私の言葉が気に入らないかのように、投げやりに言い捨てると、軽く舌打ちまで。
「いつも本命の女の子探しで忙しそうだから、私の事は忘れてるかと思ってた」
何の気持ちも読み取れない瞳が、溜息とともに私から視線を外す。
「そうだな。……本命の女、探さなきゃな」
「夏基……」