焦れ恋オフィス
「は?芽依、お前一体……」
「いいよ。気をつかわなくても。そのうち夏基が心から愛する人が現れるから」
何か言いたげな夏基の唇を私の唇でゆっくりふさいで。
『その愛される人になりたかった』
口には出せない私の本当の気持ちを注いだ。
いつかは私一人に、夏基の気持ち全部を託してくれるんじゃないかと期待しながら過ごしていたこの一年。
多分、妊娠しなければ、まだまだ未来を信じてこの部屋に来ていたと思う。
今までと同じように愛されて、ただその時間だけを生きる糧にしながらの毎日を送っていたと、簡単に想像できる。
でも、もう曖昧な未来を抱えながら過ごす事はできなくなってしまった。
私のお腹には、誰に遠慮する事もなく、思いっきり私の愛情をを注げる家族がいるんだから。
そう、誰にも遠慮しなくてもいい、思う存分に優しくできて抱きしめる事ができる唯一の家族が私にはできたから。