焦れ恋オフィス
「ほら、急がなきゃ、相模さんが待ってるよ」
「……」
夏基の首に回した腕に力をこめて。
ぐっと抱き寄せる。
今までそんな事をした事はないけど。
せめてあと何日かは私以外の女の子を抱いて欲しくなくて、最初で最後の……。
私は瞳を閉じると、夏基の首筋に赤い花を咲かせた。
しばらくは咲いたままの赤い花。
わざと目立つような場所に。
しばらくはこの花を咲かせたまま、私の存在と共にいて欲しい。
他の女に触れないで。
口には出せない私の気持ちを花にこめた。
赤い花が消えてしまう頃には、私も消えてしまうから。