焦れ恋オフィス

   *   *   *



会社に向かう夏基の車で送ってもらう途中も、今までと変わらない笑顔で。

時々冗談を言いながら。

私のマンションの前で降ろしてもらった。

運転席から降りてきた夏基は、少しためらいながら

「……専務と会うのか?」

「え……?」

「いや、いい」

夏基は、苦しげに呟くと、両手はズボンのポケットに入れたまま、体を折るように顔を私に近付けると、一瞬かすめるようにキスを落としてきた。

「……顔色悪いから、ちゃんと寝ろよ」

「うん」

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