言霊師
だが、川平キャンパスは坂の上にあるので登るのに結構な時間がかかる。坂を登りながらふと左腕の時計に目をやると、もう14:45になりかけていた。―――駐輪所で自転車を取り出すのに苦労しなければ…と心の中で愚痴ってはみたが、今はとにかく歩くしかない。
「ハァー…」
速いペースで坂を登りきり、キャンパス内の駐輪所に自転車を止めたムメは、髪を整えつつ時計台へ向かう。
その心中は、本当に恋人と待合わせているかのように、どこかウキウキしていた。
―――と、ふいに鼓動が速くなる。
自転車を飛ばした疲れではなくて、風に乗って漂う香に、何故か胸がドキドキして……
「ハァー…」
速いペースで坂を登りきり、キャンパス内の駐輪所に自転車を止めたムメは、髪を整えつつ時計台へ向かう。
その心中は、本当に恋人と待合わせているかのように、どこかウキウキしていた。
―――と、ふいに鼓動が速くなる。
自転車を飛ばした疲れではなくて、風に乗って漂う香に、何故か胸がドキドキして……