言霊師
―――頼みがある。

―――今日の約束を、私に譲って欲しい。


そう言われて、是と答えてから数分が経っていた。出かける予定がなくなったヒョウリは、今一人で部屋に居る。

同年齢くらいの姿になった一言主は、正直、かなり格好良かった。着ていくはずだった服をそのまま貸したが、元から自分の服だったかのように着こなしていた。

彼がモデルのような体型なので、コーディネートが楽しかったのだが、妥協も多かった。

灰色のパンツに、黒のシャツ。
ベルトは邪魔だと拒否されたので外した。
ブーツを履くか聞くと、嫌そうな顔をした為、諦めた。

それでも、かなり良い出来だと思う。
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