言霊師
相手に感づかれない程に小さい言霊を生み、ムメがそれを見たのを確認した瞬間に、消した。ムメの表情が険しくなった。


「まだ会った事はありません。…ただ、私の“対象”ではないですが、一通り情報は把握してます。」


仕事の対象ではない。言霊遣いは、例外なく一族の者以外だからだ。だが、その動き次第では厄介な敵となる。情報は掴んでおくべきだ。

優秀なムメは、その点をよく理解し、彼らの動きが最近減少気味な事を逆に不安に思っていた。

だから、今自分達に纏わりつく視線が言霊遣いならば…

戦う必要があるかもしれない。


緊張感のある空気がその場を満たしていった。
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