言霊師
失敗すれば、力ごと命を奪われる。抗って敵う程の相手ではない。

殺らなければ、殺られる。

勇次の頭には、その事が常にあった。そして今、実際に悠がムメを襲ったのを見て、何かが壊れたのかもしれない。
恐怖は、時に人を残酷なモノへと変えるのだろうか。

その時の勇次を見た人はいなかったが、もし目撃した人がいたら、彼を恐れて離れていったに違いない。


勇次は、恐怖に青ざめた、けれど、狂喜に我を忘れた様で門から飛び出していった。



標的がいる場所へと。
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