言霊師

「…青年は、再び出会う時までその二人を見守ってきた。
ヒトと深く関わるなと言う、爺さん…いや、他の神々に知られぬように、な。
だから、ただ見守るしかなかったのだが、再会後は堂々と二人に会えるようになった。
それは、二人とも言霊師となったからだ。」


そう言って、一言主はまたムメの頭にポンと手を置いた。
神の昔話は、今立っている場所で10年前に起こった事を眼裏に再現してみせたのだ。だから、ムメも思い出す。


自分が10年前に一言主と出会っていた事を。

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