言霊師

「クソ…ッ、まさか慎が何か…」


苛ついて座っていられないヒョウリは、先程知った事を思い出して余計に落ち着かなくなっていた。


―――慎。

同じ名なら幾らでもいるだろうが、自分が知る彼で間違いないだろう。
彼は、人を駒としか見ない。いや、それ以下に見ているのかもしれない。



―――駒の生死は関係ない。ただ、全てが自分の為に存在すれば良いのだ。

要らぬ駒は……―――



「この世に、“要らぬ駒”として消えて良い人なんか…いるはずがない…っ!」


こんなに早く繋がりができるとは思わなかったが、ヒョウリが言霊師になった目的はただ一つ。


慎を、自分の手で


消す事だった。


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