言霊師
未来に向かって歩いているはずなのに、気付けば過去の因縁に囚われたままだった。

ヒョウリも、ムメも


そして、かの神も。



「一言主…まだ己の立場が分かっていない、という訳ではないだろう?

―――我が一族に使役される神として捕えられている事、ゆめゆめ忘れるな。

それに…今後はお前を遣う機会が増えそうだ。

―――神を名乗るくらいなのだから…

使えぬ駒ではないだろう…?」




誰もが、重く暗い檻の中にいた。

忘れる事さえも許されず、

助けを求める術すら与えられずに、

ただ檻の中だけが世界の全てだと思い込んで。


―――そう思い込まないと、自分が壊れてしまうから。

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