言霊師
故に、約束の時間を知らせる携帯のアラームが鳴ったのを聞いた瞬間、ヒョウリは動いた。


「…ムメさん、確認なんですけど―――貴女が一番慕っているのは誰ですか?」


「は?何言ってんのよ。今そんな事を…」


「今だからこそ、どうしても聞いておきたいんですよ。
僕は貴女達二人の為に頑張る所存なんですから。ね?

貴女の想い人は?」


「―――っ」


紅く頬を染めたムメは、観念して、それでも何処か恥ずかしさからヒョウリに背を向け答えた。


「…一言主様」


その答えに満足げに笑うヒョウリの表情など、ムメには見えない。

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