言霊師
「ちゃんと来てるみたいだね。真面目だなー。
あぁ、それとも…脅されてるのかな?」


5分も歩かないうちに、ヒョウリは歩みを止めた。わざと聞こえるように、いや、見えるように発した言葉は言霊遣い達に届いたらしい。

立ち止まった場所は、山を抉ったような道路にあるバス停。

馬鹿にしたような言葉を聞き、言霊遣い達の気配が予想以上にざわめく。

あの男は誰だ?女の仲間か?という言葉が聞こえた。つまり彼らは、ムメ側の人間の情報が皆無だったのだ。

その事に若干驚くヒョウリだったが、すぐに眼光をきつくする。


「ただ命令を出すだけなのか。…何も知らせずに。」


警戒しながら自分達を取り囲む彼らは、脅されているだけなのだろうか。そう思った時、遣いの一人が漸く口を開いた。
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