言霊師
クールな彼がパニックになどなるのか、と不思議に感じるが、実は彼は、

言霊師になったばかり。

つまり、新人であった。


大学2年になる春に一言主から眼をもらったので、言霊関係についてはまだまだ勉強不足。未知の領域が多い。


そして、他の言霊師に会うのも初めて。



「変わった名前ですね。」


「えぇ。言霊師になるための名だから。」


「……え?」


「私の家系は、代々、言霊師になる義務があるの。
そういう家の事、知ってる?」


知っているわけがない。

ただ驚いて。

再びムメの言霊が見えない事にすら気付かないほどに。
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