言霊師
整った顔から表情を消し、キョロキョロと辺りを見渡す青年。

言霊師になったばかりだとは聞いていたが、まさかこんなにも無知だとは。
予想以上の無知さに、ムメは唖然としていた。


「…何で……あの方は、こんなヤツを…」


つい漏らした言葉は、言霊にならない。いや、なれない。


ムメは、言霊を消す力を持つこの世で唯一の人間。



自分の言霊は極力消すように、と教育を受けてきたので、今うっかり口にした言葉も瞬時に消し去った。
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