言霊師
自分にとっては、当然出来ていなければならない事。

そう躾られてきたから。


「ムメさん…あなたが、言霊を消したんですよね。」


「言霊を消せる力の事も知らないみたいね」


「そんな事は聞いてませんよ。」


「何故、言霊師になったの?―――あなたは本来なら“私達”と関わりのない人。どうして、」


「…その前に」


言葉を遮り、ヒョウリは笑みを浮かべた。楽しくなくても、目まで笑えるのだ。

一瞬怯んだムメに、お気に入りの言霊を消されて多少は腹がたっている彼は、怖いほど優しく言った。


「答えるのが先ですよね?質問してるのは、僕の方です。」
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