言霊師
後ろを振り返った長は、目を疑った。


一族以外で共に隠れていた者達が、刀を抜いていた。
何かに操られていると分かる程に顔が歪んだ彼らは、その切っ先を一族へと向けている。



『……!!!』



手を伸ばした。

家族の方へ。

何よりも守らなければならないものへ。


ドスッ

『…人心を操るとは、まことに恐ろしい事よ…。』


長の耳元で聞こえた声。それと同時に、腹を突き抜けた刃が目に入った。
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