言霊師
『ぅ…ぐ…ッ……』


背中から刺され倒れこむ長を見下ろし、かの人は笑った。


『貴様ら以外ならば、結界内であれ操る事は可能だ。一言主を信じきれていない者程、な。』


『よ…くも…!!!』


血を吐きながら叫んでも、いくら後悔しても、もう遅い。


『力など要らぬ。欲しかったのは、貴様らの命だ。
守る者共を消し、一言主を意のままにした方が、強い呪となる。
そうであろう?』


どこまでも冷ややかな姿を映していた瞳は、虚空を見る。
そして、言葉を紡いだ。
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