言霊師
「一言主。“もう”ではなく、“まだ”4人目です。先任の者のペースに比べると、多少速いだけ。
まだ、消すべき人間は大勢います。

先任は…兄は、5年間しか役目を果たせなかった。

だから、私はもっと……」


覚えているのは、いつも冷たい顔の兄だけ。話しかけても、一言二言返ってくれば良いほうだった。

…自分が強い素質を持っているのだと皆が言うから、兄は妬んでいるのかもしれない。

そう思い込んでいた。



「そなたの兄は、良い言霊師だった。それに…歳の離れた妹が出来たと、一番に私の元へ走って来たのも彼だ。

誰よりも、そなたを愛していたのも。」

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