恋愛両立


「なんてね。そんな顔しないでよ。」


すこし寂しそうに笑うと敦くんはまた前を向いた。


「え?あの・・・」


私どんな顔してた?


自分の事がイヤだって思った。


敦くんのことはイヤじゃないよ。


わたしイヤそうな顔してたのかな・・・


「ごめんなさい。」


思わずでた謝罪の言葉に


「謝んないでよ、結構傷つく。」


また苦笑いした敦くん。


なんだろうこの曖昧な会話。


敦くんはなにが言いたいんだろう・・・


しばらく沈黙が続く。




ダメだ。


空気が重い。


男の人に誘われたことも、こんな風に駆け引きみたいに会話することも。


もう忘れた。


学生の頃はそれなりに彼氏がいたり、恋愛したり、男の人にちやほやされたり、結構慣れてたはずなのに。


あの頃の私なら思わせぶりな言葉も、ストレートな言葉もちゃんと交わせて楽しく会話出来たんだ。


出会って間もない人と急接近して付き合ったこともある。


思わせぶりな言葉ばかりで曖昧な関係のままいた人もいる。



それでも良かったんだ。


毎日楽しかった。


でも今はどうしていいかわからないんだ。

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