恋愛両立
カラン、カラン。
慣れない草履にゆっくり歩く早紀ちゃん。
両手で和柄の小さな巾着を持って、俺の少し前を歩く。
浴衣姿の自分を気に入ってるのかな?なんか子供みたい。
夏祭りを堪能した俺と早紀ちゃんは夜の散歩をしていた。
「んー、広場は人がいっぱいで暑かったねー。ここは涼しい~」
海沿いを歩きながらゆっくり歩く。
手、つなぎたいな。
顔、見たいな。
そんなことばっかり考えてる俺。
近くて、手を伸ばせば直ぐに握れる距離にある小さな手。
こんなに躊躇するなんて思わなかった。
触れたいのに、触れられない。
付き合う前の方が積極的だったかも。
海沿いに小さな公園、小さなベンチを見つけて早紀ちゃんが座った。
「喉乾かない?なんか買ってくるよ。」
座った早紀ちゃんに向かって俺が言うと、
「ううん、へーき。」
小さく首を横に振った。