YIH
「良かった、ハクなら俺のこと匿ってくれるって信じてたよ」
「…それは?」
「ボスからの《指令》」
「……」
「ハクと俺で最近調子こいてる組織をぶっ潰しに、」
「嫌です」
「何で!最後まで聞いてよ!」
憎きボスから藍嘉さんが預かってきた《指令》というのは、所謂裏の仕事だ。
僕たちの表の仕事である《BLANK》すなわちバンドグループのメンバーで形成された、《掃除屋》と呼ばれる危険なお仕事なのである。
「冒頭から嫌な予感はしてました」
「そんなに数多くないよ!大丈夫、1日もかからないよ絶対」
「でしたらアイさんだけでも十分ですね。僕は必要ありません」
「相手は巳波組だよ」
「……」
「ねえ、ハク」
「……分かりました、半日で済ませましょう」
「よし!じゃあ早速出発しよ!」
「え…今からですか」
「もちろん」
腰に手を当てそう言い切った藍嘉さんは僕の手を引いて食堂を後にする。
僕は、悪いとは思いながらも、藍嘉さんに気付かれないようにメールを打った。
送信先は彼女の保護者である、絵陰哉勒である。
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