†Orion†〜Nao's Story〜
「……森谷……、もう……」
これ以上ここにいたら、あたしは、もっと傷ついてしまいそうだ。
森谷という地雷が、また何かを企んでいるから。
「……先輩。首筋、蚊に刺されました?」
「え……っ?」
「……あれっ? 虫刺されじゃないっすね。違うモノに刺されたのかな」
シャツから僅かに覗く先輩の鎖骨。
そこにあったのは、あたしの記憶には存在していない情事のあとだった。
森谷に指摘された先輩は、焦った様子でその部分をシャツで隠す。
気まずい空気が流れるなか、それをタイミングよく救ったのは、午後の授業開始を知らせるチャイムの音だった。
「……もういいだろ?」