†Orion†〜Nao's Story〜
「それにしてもスゴイなぁ。自分で開けようとするなんてさ」
再びフライパンを振りながら、お父さんは感心したように呟いた。
そして、出来上がった野菜炒めをお皿に移しながら言葉を続ける。
「氷に消毒液だろ……。まさか自分で開ける気か?って思ったらビンゴだったし」
――昨晩の、あの絶妙なタイミング。
あたしがピアスの穴開けに必要なものを調達していたとき。
お父さんは、キッチンでゴハンの準備をするお母さんの後ろ姿を幸せそうに眺めていた。
そう。後ろ姿“だけ”を。
でも実際、あたしの挙動不審な行動をしっかり見ていたわけで。
「糸が出てくるから、絶対に病院行けよ?」
「だーかーらっ! 糸が出てきて失明なんて、ただの都市伝説だよ。信じているのなんて、お父さんくら……」